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学習指導要領の「三つの柱」と非認知能力の関係性とは

学習指導要領の「三つの柱」_アイキャッチ

最近、「非認知能力」という言葉が教育現場やビジネスの世界で注目されています。

現代はAI技術や自動化が進んでいる時代だからこそ、知識や技術だけではなく、変化にうまく対応できる力や、他の人と協力して新しい価値を生み出す力がとても大切になっています。この力こそが、実は「非認知能力」と呼ばれているものです。

この記事では、学習指導要領の「三つの柱」と非認知能力の関係性や、子どもたちにとってなぜ非認知能力が大切なのか、そしてそれをどのように育てていけば良いのかをわかりやすく解説します。お子さんが将来に向けて必要な力をしっかりと育んでいけるよう、ぜひ最後までご覧ください。

文部科学省が定義する非認知能力とは

近年、教育界で注目を集めている「非認知能力」は、テストの点数では測ることのできない、個人の性格や意欲、社会性などを指す能力です。では、文部科学省はこの非認知能力をどのように定義づけているのでしょうか。

文部科学省は、非認知能力を意欲・意志・情動・社会性に関わる三つの要素からなると定義しています。

具体的には、目標達成のために粘り強く取り組む力、目標達成に向けて状況に応じてやり方を変えたり工夫したりする力、そして、他者と協力して共通の目標達成に向けて取り組む力の三つの要素が重要だとされています。

これらは、単に知識や技能を習得するだけでなく、それらを活用して社会の中で活躍するために必要な力と言えるでしょう。今後の学習指導要領の改訂においても、この非認知能力の育成は重要なテーマとして取り上げられています。

参考:文部科学省「中央教育審議会 初等中等教育分科会 幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会 ―第2回会議までの主な意見等の整理― 」

非認知能力の三つの大切な力

非認知能力の三つの大切な力

本項目では、非認知能力の三つの大切な力について紹介します。これらは、複雑に絡み合い、互いに影響を与えながら個々の能力を形成しています。

  • 【自分の感情と向き合う力】自制心、忍耐力など
  • 【子どもがやる気になる力】向上心、意欲など
  • 【相互理解できる力】共感性、コミュニケーション力など

それぞれの代表的な力について詳しく見ていきましょう。

【自分の感情と向き合う力】自制心、忍耐力など

非認知能力の大切な力の一つである「自制心」は、感情や行動をコントロールし、目標達成のために適切な選択をする力です。困難を乗り越え、誘惑に負けずに努力を続けるために必要不可欠な要素です。

自制心は、次の三つの要素から成り立っています。

  • ストレス管理能力:ストレスや感情の起伏をコントロールする力
  • メタ認知能力:自分の思考や行動を客観的に認識し制御する力
  • 状況把握能力:周囲の状況を正確に理解し、適切に行動する力

これらがバランスよく発達することで、自制心が育まれます。

自制心は、感情と向き合う力を養う上でも重要です。例えば、ストレス管理能力は、プレッシャーや不安に冷静に対応する力を支えます。メタ認知能力は、自分の感情を客観視し、怒りを感じたときに深呼吸や場所を移動するなど、適切な行動を選択する力を育てます。このような能力は、感情に流されず主体的に行動するために欠かせません。

【子どもがやる気になる力】向上心、意欲など

向上心とは、現状に満足せず、より高い目標を目指して努力する力のことです。子どもが何かを達成した際に、さらに上を目指そうとする意欲、あるいは目標に届かなかった際に、諦めずに再び挑戦しようとする粘り強さなども、向上心に含まれます。

向上心を持つ子どもは、目標達成のために試行錯誤を繰り返し、自ら学ぶ姿勢を育みます。この姿勢は、学習指導要領で育成を目指す「知識及び技能」や「思考力、判断力、表現力」の獲得にもつながります。また、困難に立ち向かう経験を通して、精神的な成長も期待できるでしょう。

【相互理解できる力】共感性、コミュニケーション力など

共感性とは、他者の感情や考えを理解し、共有する能力です。相手の気持ちを想像し、その人の立場に立って物事を考えることができる力とも言えます。

近年、社会生活を送る上で重要な能力として注目されており、AI時代において人間に求められる能力の一つです。

共感性を育むことは、良好な人間関係を築く上で非常に重要です。共感性が高い人は、他者とのコミュニケーションを円滑に進めることができ、信頼関係を築きやすい傾向にあります。また、共感性は、チームワークを促進し、組織全体の生産性を向上させることにもつながります。

これらの三つの大切な力がバランスよく育まれることで、子どもたちは困難を乗り越え、目標を達成し、より豊かな人生を送ることができるのです。後述する学習指導要領の「三つの柱」にも深く関わり、将来の学力や社会生活における成功にもつながると考えられています。

学習指導要領の「三つの柱」とは

変化の激しい時代に合わせるため、小学校では2020年度、中学校では2021年度から全面実施、高等学校では2022年度の入学生から年次進行で新しい学習指導要領が実施されることになりました。

文部科学省では、児童生徒に育成すべき資質・能力を「学習指導要領」として整理しています。この学習指導要領は、大きく分けて以下の三つの柱で構成されています。

  • 知識及び技能
  • 思考力、判断力、表現力など
  • 学びに向かう力、人間性など

これらは互いに関連し合い、統合的に育成されるべきものとされています。それぞれの柱について詳しく見ていきましょう。

知識及び技能

学習指導要領の「知識及び技能」とは、各教科で習得する具体的な知識や技能のことを指します。例えば、国語では漢字の読み書きや文章読解、算数では計算力や問題解決力などが含まれます。

知識や技能をスムーズに習得するためには、日常の些細な出来事について親子で一緒に考えたり、学んだりすることが大切です。そうした積み重ねが、子どもの好奇心や意欲を引き出し、非認知能力の成長につながります。

例えば、親子の対話を通じて考えを深める習慣を身につけることで、コミュニケーション力や発想力、問題解決力など、将来に役立つ力を育むことができます。

そのための一歩として、親子で活用できる非認知能力ドリル「ふかめるコミュりょく」を活用してみるのもおすすめです。1日10分、親子で対話を深める習慣を通して、学びの基盤となる非認知能力を育んでみてはいかがでしょうか。

思考力、判断力、表現力

「思考力、判断力、表現力」は、子どもたちが日々の学びの中で育んでいく大切な力です。

思考力は、物事を深く考え、論理的に整理する力。判断力は、情報をもとに適切な選択をする力。そして、表現力は、自分の考えや気持ちを相手に伝える力となります。これらは、知識や技能を活用してさまざまな課題を解決したり、未知の状況にも対応できるようにしたりするために必要な力です。

これらは社会で活躍するための基盤となる力であり、国語や算数、図画工作、音楽、体育といったさまざまな学習活動を通じて育まれます。

例えば、国語の授業では、文章を読み解き自分の考えをまとめて発表することで、思考力や表現力が養われます。算数では、問題解決を通じて判断力が鍛えられます。また、図画工作や音楽、体育では、感性を高めつつ、自分の思いや考えを表現する力が育まれるでしょう。

これらの力をさらに伸ばすためには、非認知能力ドリル「ふかめるコミュりょく」を活用するのもおすすめです。このドリルでは、子どもたちは、自ら「なぜ?」と疑問を持ち、「○○かも!」と仮説を立てながら思考を深めていく、「なぜーかも」力を育てることができます。

このような練習を通じて、思考力が高まり、日常の対話を通じて表現力も磨かれていきます。親子の対話が深まることで、子どもは自分の気持ちを言葉で伝える力を自然に身につけることができ、学校や日常生活のさまざまな場面で自信を持って表現できるようになるでしょう。

学びに向かう力、人間性

「学びに向かう力、人間性」では、主体的に学習に取り組む態度を養うこと、他者と協働して学ぶ姿勢を育むこと、学んだことを人生や社会に活かそうとすること、よりよく生きるための基盤となる道徳性を育成することを目指します。

自ら学び続けるためには、学ぶことへの意欲、そして、困難に立ち向かう力が必要です。また、社会の中で他者と良好な関係を築き、協働していくことも重要でしょう。

非認知能力ドリル「親子の対話でふかめるコミュりょく」内の「未来デザイン力」では、地球のことや世界のことについても考える内容になっています。このような問いは日常からかけ離れていると思われがちで、親子間でお話する機会はなかなかないかもしれません。しかし、幼少期から目の前のことだけではなく地球や世界のことについて考えることは、未来を担う子どもたちにとっては実は必要不可欠な要素です。

世界にはさまざまな問題があり、貧困や環境問題、紛争などが起こっています。これらは決して他人事ではなく、私たち自身の問題でもあるでしょう。

子どもたちが将来、社会で活躍し、よりよい人生を送るためには、これらの問題について理解を深め、解決策を探していくことが重要です。そして、そのような問題意識を持つことが、学びに向かう力を育みます。非認知能力ドリル「親子の対話でふかめるコミュりょく」を通じて親子で地球規模の課題について話し合うことで、子どもたちの視野を広げ、よりよい社会を築くための力を育むことができるでしょう。

参考:平成29・30・31年改訂学習指導要領の趣旨・内容を分かりやすく紹介

なぜ非認知能力が重要視されるのか

これまでの教育では、テストの点数で測れる知識や技能が重視されてきました。しかし、現代社会ではそれだけでは不十分です。問題を解決する力や、他者と協力して目標を達成する力といった、数値では測れない「非認知能力」がますます重要になっています。

学校教育も変化しており、学習指導要領では「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間性」の三つの柱が掲げられています。これらは、非認知能力を育むことを目指した教育方針を示しています。

AIの発展やグローバル化が進む中では、変化に柔軟に対応し、自ら学び続ける力が必要です。また、多様な価値観を持つ人々と協力しながら、自分の意見を伝え、相手を尊重して合意をつくる力も求められます。さらに、困難に立ち向かい、粘り強く目標を追い続ける力も社会で活躍するために欠かせません。

非認知能力は、これからの時代を生き抜き、子どもたちの未来の可能性を広げるために必要不可欠な力なのです。

家庭でできる実践的な非認知能力の育成方法

家庭でできる実践的な非認知能力の育成方法

家庭では、日常生活を通して子どもの非認知能力を育むことができます。

  • 読書習慣を身につける
  • 遊びや体験を通して学ぶ
  • 親子のコミュニケーションを深める

以上の方法について詳しく見ていきましょう。

非認知能力の育成方法については以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

非認知能力の育て方|親が今すぐできる実践方法 - 深コミュ力

読書習慣を身につける

読書は、子どもの非認知能力を育むのに非常に効果的な方法です。読書を通じて、子どもは知識や経験を得るだけでなく、想像力や共感性、柔軟な思考力も自然に高めていけます。

物語を読むことで登場人物の気持ちに共感し、他者理解の力が育ちます。また、異なる価値観や視点に触れることで、柔軟な考え方が養われ、論理的思考力や問題解決能力も鍛えられるでしょう。

読書習慣を身につけるためには、親が本を楽しんで読む姿を見せることが大切です。親は子どものロールモデルであり、その影響力は大きいです。また、寝る前に絵本を一緒に読んだり、図書館に行く習慣を作ったりすることも効果的でしょう。

読書は単なる知識習得の手段ではなく、心を豊かにし、人生を深く味わうための重要なツールです。家庭で読書の楽しさを伝え、子どもが読書を生涯の楽しみとして育んでいけるよう、日常的に読書を取り入れていきましょう。

遊びや体験を通して学ぶ

遊びや体験を通じた学びは、子どもの非認知能力を育む上で非常に重要です。実体験から得る学びは、思考力や判断力、表現力を高めるだけでなく、やり抜く力や向上心を育む基盤となります。困難を乗り越えたり、目標を達成する喜びを味わうことで、自己肯定感も養われるでしょう。

例えば、自然の中での遊びは、子どもの五感を刺激し、好奇心や探究心を育てます。虫取りや川遊びを通じて自然の美しさや不思議さを感じ、生命の尊さを学べます。また、公園での遊びやスポーツでは、協調性や社会性を身につけることができます。ルールを守ることや、仲間と協力することの大切さを体験を通じて理解できるでしょう。

さらに、習い事への挑戦も非認知能力の育成に役立ちます。音楽や絵画、ダンスなど、子どもが興味を持つ活動に取り組むことで、自己表現力や創造性が磨かれるでしょう。練習を重ねて成果を出す経験は自信につながり、成長意欲を引き出します。

遊びや体験を通じた学びは、子どもたちが自ら考え、行動し、成長していくための大切な土台となります。日常生活の中に多様な経験を取り入れ、豊かな成長をサポートしていきましょう。

子どもの自己肯定感を向上させたいとお考えの方は、以下の記事もぜひご覧ください。

子どもの自己肯定感を高めるには?親の関わり方や声かけ例を紹介

親子のコミュニケーションを深める

親子のコミュニケーションを深めることは、子どもの非認知能力を育む上で非常に重要です。日々の会話を通じて、子どもの気持ちに寄り添い、共感的に話を聞くことで、子どもは自己肯定感を高め、安心して自分の考えや感情を表現できるようになります。親子のコミュニケーションを深めるポイントは以下の通りです。

  • 子どもの話をじっくり聞く
    子どもが話しかけてきたときは、作業を中断して目を見て聞きましょう。言葉だけでなく、表情や仕草にも注意を払い、気持ちを理解しようとする姿勢が大切です。
  • 共感的な言葉をかける
    「それは大変だったね」「そう感じたんだね」など、子どもの気持ちを受け止める言葉を使いましょう。共感的な反応は、子どもの安心感を高め、自分の思いを伝えやすくします。
  • 親の気持ちを伝える
    親自身も自分の気持ちや考えを伝えることで、子どもは他者の感情を理解する力を育てることができます。「お母さんはこう思ったよ」「お父さんはこう感じたよ」と、率直に伝えることが大切です。
  • 一緒に楽しむ時間を作る
    料理、ゲーム、散歩など、親子で楽しめる活動を取り入れましょう。共通の体験を通じて自然な会話が生まれ、絆が深まります。

コミュニケーション能力を育む具体的なアクティビティとして、非認知能力ドリル「親子の対話でふかめるコミュりょく」もぜひご活用ください。このドリルは、親子で自由に考え、語り合える内容になっており、正解や不正解にとらわれず、子どもの発想力を引き出すことにつながります。このドリルを使って1日10分親子で向き合う時間を作れば、共感力や自己肯定感が育まれ、非認知能力の向上にもつながります。

日々の生活の中で、意識的に親子の対話を深める時間を作り、子どもの心の成長をサポートしましょう。

子どものコミュニケーション能力を高めたいとお考えの方は、以下の記事もぜひご覧ください。

子どものコミュニケーション能力を高めるには?楽しく学べる習慣づくりを紹介 - 深コミュ力

非認知能力ドリルで親子の対話を始めよう

深めるコミュ力

非認知能力は現代社会で必要な力で、やり抜く力や共感性は、学習指導要領の三つの柱にも関わっています。これらは一朝一夕で身につくものではなく、家庭での継続的な取り組みが重要です。

そこで、親子でできる非認知能力ドリルを試してみてはいかがでしょうか。天満屋の非認知能力ドリル「親子の対話でふかめるコミュりょく」は、親子で語り合うきっかけを作るためのツールです。

このドリルでは、非認知能力を伸ばすための土台は「親子で深いコミュニケーションがしっかりとれること」と定義し、「深コミュ力」と呼んでいます。

このドリルには、「1億年前の空の色は何色?」といった想像力を掻き立てる質問や、「命は何で大切なの?」といった共感性を育む質問など、多様なテーマが用意されています。

これらの質問を通して、お子さんの考えや気持ちを理解し、適切なアドバイスを与えることができます。また、お子さん自身も自分の考えを整理し、表現する練習になるでしょう。

親子でじっくりと話し合う時間を設けることは、お子さんの非認知能力を高めるだけでなく、親子の絆を深めることにもつながります。親子の対話でふかめるコミュりょく」を使って、今日から親子の対話を始めてみませんか?

深コミュ力